障害年金まつざき特定社会保険労務士事務所

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お知らせ

2024/05/24

社会保険審査会 裁決事例⑤『内縁の妻に対する遺族厚生年金の支給』

⑤月間社労士 2024,5月号より引用

【概要】
亡Aが死亡する3か月頃前まで交流があったこと等を理由に、利害関係者(戸籍上の妻)との婚姻関係が形骸化しているとは認められないとして、請求人(内縁の妻)に対する遺族厚生年金等を支給しないとした原処分を取り消した事例

【事実の確認】
Aは戸籍上の妻と婚姻し、その間に長男が出産した。Aの両親や弟妹と同居。
その後、Aは請求人と親密な関係となり、別の場所にアパートを借り、以降請求人と同居し、夫婦として生活してきた。Aと請求人の間に子は無い。
Aは長男が小学校の高学年となる頃から大学を卒業するまで、戸籍上の妻に対し、養育費として毎月13万円を渡してきた。
Aは、死亡する10年頃前からは年に1回程度、戸籍上の妻宅を訪れたが、その頃から痴呆が始まり、5年前頃には請求人が、Aの意を慮って年1回程度、孫に会わせるためにAを車に乗せて戸籍上の妻宅を訪れていた。

【事実の認定】
Aと戸籍上の妻との婚姻後の同居期間が7年余であるのに対し、請求人とAは、その後50年以上に亘り同居して夫婦として生活してきた。この間、Aは、長男の養育費を負担したが、その後は継続的な婚姻費用の負担があったとは認められないし、年1回程度、戸籍上の妻宅を訪れたことも子や孫に会うことが主たる目的であり、戸籍上の妻との交流は希薄であったことがうかがわれる。Aの死亡当時、戸籍上の妻のと婚姻関係は、実態を失って形骸化し、その状態が固定化して近い将来解消される見込みはなく、事実上の離婚状態にあったものと認められる。

【結果】
請求人には、Aにかかる遺族厚生年金及び未支給年金が支給されるべきであり、これと異なる原処分は相当でないから取り消す。(令和3年裁決)

兵庫県加古川市の障害年金専門社会保険労務士
障害年金 まつざき特定社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士 松崎洋治
手続きは全国対応で承っております。
うつ病の他、ほとんどの傷病が障害年金の対象となり得ます(手続きは原則65歳まで)。




④月間社労士 2024,3月号より引用

性別適合手術で生殖腺がないことによる症状を主訴とするホルモン補充療法等に要した費用について、
療養費の支給を求めた請求人の再審査請求を棄却した事例。

【経緯】
請求人は男性として出生したが、性別適合手術により生殖腺がなくなり、家庭裁判所による性別の取扱いを男から女に変更する旨の審判を受けていた。
これまでのホルモン補充療法等の負担費用に対し、療養費の支給を申請したところ、「保険適用外の診療のため。(保険適応外の診療をうけたことについて、やむを得ないと認めることができないため。)」との理由で、療養費を支給しないとする旨の処分をされていた。

【審査会の判断】
保険外診療であること。
担当医師は、本件診療を保険外診療として行うことを請求人に説明し、請求人もそれを了承した上で本件診療が行われたものと認められる。
この経緯に照らせば、原処分は妥当であって、取り消すことができず、本件再審査請求を棄却する。
(令和3年裁決)

兵庫県加古川市の障害年金専門社会保険労務士
障害年金 まつざき特定社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士 松崎洋治
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うつ病のほか、ほとんどの傷病が障害年金の対象となり得ます(手続きは原則65歳まで)。



③月間社労士 2024、1月号より引用

病院に診療録が残っておらず、障害年金の請求に係る傷病の初診日について確認することができないことを理由に請求人の裁定請求を却下した原処分を取り消した事例(=障害基礎年金の支給が認められた)令和2年裁定

統合失調症にて障害基礎年金請求
「初診日を確認することができないため」不支給決定

【審査会の判断】
●初診日の医療機関には診療録が残っておらず、本人申立てによるもののみでは直ちに採用することは出来ない。
●提出された第三者証明では、受診していた事を「聞いたことがある」と記載されているが、30年以上前のことに係る記憶の正確性、信用性を認める特段の事情は認められない。
●提出された本人のノートの記載も、当時に記載されたものであるかは明らかではなく、これをもって初診日を認めることは出来ない。
●他に有力な資料は提出されていない。

上記のように、提出書類からは本人申立ての初診日とは認められないとしつつも、

〇「審査会が(独自に)取り寄せた他の受診していた病院の診療録には、初診日の病院にその頃から入院していた記録がある」
〇「その入院中に知り合った者が入院中の請求人に郵送した手紙(1日も早い回復を祈っている旨記載)には、初診日の頃の消印があることが認められる」
〇「初診日にかかる入院中に、院内のテニス大会で優勝した記録が残されている」

という新たな情報により、初診日は本人主張の日付で疑いが無いことが認められた。

以上の次第で、年金機構(厚生労働大臣)の原処分(裁定を却下)は、妥当でないから取り消すこととする。


※障害年金の請求手続きで、初診日がかなり昔であるため、初診日証明が取得できないケースは多いです。
その場合、第三者証明を添付することで初診日を主張するのですが、今回の裁定例のように正確性と信用性を疑われることが多いことがわかります。それらをふまえて立証できる資料を揃えて提出するのですが、なにもない場合は初診日の主張は認められないことが一般的です。
しかし、
今回の裁定例で注目すべきことですが、
『社会保険審査会が独自に資料を取り寄せて、その内容が請求人の主張を立証できる』として裁定結果が覆った
ことについて、かなり踏み込んだ調査をしたと感じます。
このような調査をしてくれるのであれば、より事実に基づいた裁定ができますので、良いお仕事をされたと感心しております。


兵庫県加古川市の障害年金専門社会保険労務士
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特定社会保険労務士 松崎洋治
手続きは全国対応で承っております。
うつ病のほか、ほとんどの傷病が障害年金の対象となり得ます(手続きは原則65歳まで)。




②月間社労士 2023,9月号より引用

概要:
療養費の支給対象となる疾病に該当しないとして、左下肢原発性リンパ浮腫の治療装具の購入(弾性ストッキング)に要した費用を療養費の支給対象としないとした原処分を取り消した事例。

支給対象疾病:
『弾性ストッキング』の支給対象疾病として、
「リンパ節郭清術を伴う悪性腫瘍(悪性黒色腫、乳腺をはじめとする腋窩部のリンパ節郭清を伴う悪性腫瘍、子宮悪性腫瘍、前立腺悪性腫瘍及び膀胱をはじめとする泌尿器系の骨盤内のリンパ節郭清を伴う悪性腫瘍)の術後に発生する四肢のリンパ浮腫」
保険者組合は上記の疾病に該当しないため、支給できないとの判断だった。

審査会の判断:
「請求人の疾病は、上記に列挙されている対象疾病に含まれないことは明らかである」としつつも、
弾性ストッキングによる患肢の圧迫効果は広く認められており、さらにリンパ浮腫を放置すると、ちょっとした傷でも重篤な感染症を引き起こしたり、また、軽い感染症を繰り返すことにより、皮膚の硬化等の器質的障害を引き起こす可能性があることを考慮すると、「弾性ストッキングの装着は、その唯一ともいえる予防的治療法であるといえる。」
とし、
「対象疾病に列挙された以外の疾病による場合は全く支給しないとする趣旨は相当でない」
「当該傷病の治療上における弾性ストッキングの必要性、有効性は確認されていることからすれば、当該傷病について、その原発性であることを理由に支給対象から除外することは療養費の支給の趣旨・目的に照らして合理的なものであるとは言えない」

結果:
原処分を取り消す(支給することとなった)。


ポイント:
支給対象疾病は重要な判断基準ですが、制度の趣旨・目的によっては支給対象疾病に列挙されていなくても該当する可能性があるという判例でした。


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①月間社労士 2023年7月号より引用。

☆法定免除対象者に該当しながら、それを知らずに国民年金保険料及び国民年金基金の掛け金を長期にわたって納付していた請求人の再審査請求を棄却した事例。

●再審査請求の趣旨
①国民年金保険料の免除を取り消す
②国民年金基金の資格喪失処分を取り消す
※保険料を納め続けていたので納付済みとして処理してほしいとの意

●経緯:
20歳前障害(てんかん)により障害基礎年金2級を受給することとなった。
これにより年金保険料の『法定免除者』に該当するもそのことを知らず
引き続き年金保険料と国民年金基金の掛金を納付してきた。
保険者は所外基礎年金2級を受給していることは把握しておらず、所定の納付書を送付して保険料の納付を促していたものと推認される。

年金事務所は国民年金保険料法定免除理由該当届の提出を促していた。
国民年金基金は、資格喪失届の提出を促す書類を送付した。

●社会保険審査会の判断:
請求人は
①保険料免除を取り消すことを求めているが、法律上当然に保険料を納付することを要しないことに対して特段の処分がされることはない。不適法として却下。
※(法律上保険料免除と認められている)法定免除に対して、その保険料免除を取り消すという概念がないので再審査請求は却下という意。
②国民年金基金の資格喪失処分を取り消しを求めているが、国民年金基金は資格喪失届の提出を促す書面を送付したにとどまり、実際に資格喪失届が提出、資格喪失処分がされたと認める資料は無いため不適法として却下。
※実際に資格喪失がされていないものに対して、資格喪失処分の取り消しを求めること自体適法ではないという意。

ポイント:
法定免除に該当していたが知らずに保険料を納め続けていた請求人。
実際に保険料を納めたのなら免除対象をはずして納付済みとして処分してほしいとの趣旨。
保険者の説明不足は不当と認めつつも、保険者が処分した手続の結果としての不服とは異なるので
この社会保険審査会に提出する案件ではなく却下されたという事例。




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特定社会保険労務士 松崎洋治
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うつ病の他、ほとんどの傷病が障害年金の対象となり得ます(原則65歳まで)。
社会保険審査会 裁決事例⑤『内縁の妻に対する遺族厚生年金の支給』
社会保険審査会 裁決事例⑤『内縁の妻に対する遺族厚生年金の支給』

2024/05/12

社労士の日常

●R6,5,12

人工股関節の置換術を受けていたので
勤めながらでも障害年金の受給は可能でしょうか?
という御相談を頂きました。

人口関節置換後、障害年金3級に該当します。
所得を得ながらでも受給は可能です(20歳前障害を除く)。

人工関節のひとは多少不自由でも自力で動くことができるので、仕事内容の制限も大きくない事、
さらに障害者雇用率を上げるという点で企業側に大いに貢献できることもあり、
手術後も病気が原因で退職という話はあまり聞こえてこないです。

お仕事が忙しかった為、障害年金の手続きができず、そのまま数年経過しているケースも少なくないです。
人口関節は置換術の日が障害年金の障害認定日の特例に該当しますので
手術をした日か、初診日から1年6か月経過した日の早い方で手続きを御検討してみてください。

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●R6,4,26
化学物質過敏症で今まで2級の年金受給が認められていた症状の重さにより提出していたが、
判断基準が変わったのか、なぜか不支給決定。
処分内容に不服ということで審査請求書を一昨年11月に提出。
棄却の決定が約半年後の昨年6月に届く。
こちらも処分内容に不服でしたので再審査請求を同月内に提出。
あれから10か月経過しようとしているのに
まだ結果が届かない。
再審査請求を審査する社会保険審査会も、不服申立が多いのでしょうか。
何が原因で決定が遅れているのか、大変興味深いです。
いままで認めていた内容について、どのような裁定を下すか、
もし棄却ならどのような理由になるのか、
こちらはもっと興味深いです。

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●R6,3,13
おかげさまで、障害年金について遠方のお客様からの御依頼も増えてきました。
電話・メール・郵送で手続きが可能。
全国の年金機構のうち、どこに提出しても受け付けてくれる事が大変ありがたいですね。

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●R6,3,5
障害年金手続きに添付する『受診状況等証明書(=初診日証明)』の作成を整形外科医院に依頼。
当然一旦預けて後日受け取りのながれになると考えていたのですが、
「当医院の院内規定で、預かることができません。本日中に作成してお渡しします。
他の受診者が多いので数時間後になります。またこの時間に受け取りにいらしてください。」
と、” 一旦預けて ” 数時間後に受け取りに伺いました。
キッチリと仕上げてくれていて、数日かかる見込みが1日で。ありがたい。
と、同時に2つの疑問が。
受診状況等証明書は記載内容のボリュームが少ないのですぐに対応できるかもしれませんが、
一つ目は、もしこれが診断書だった場合、果たして同じように当日中に仕上げてくれたのでしょうか?
二つ目は、「院内規定で預りができない」とのことですが、院外で他の仕事ができるために、数時間あずけて拘束を解いてくれたことはありがたかったのですが、これは院内規定にひっかからないのでしょうか?まぁ、私の立場ではただただありがたかったので、不満は無いのですけど。
自身に厳しい規定を持つある整形外科医院。
診断書の依頼をするときはどうなるのかと、気になった病院でした。

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●R6,2,21
ある心療内科の病院で依頼してました診断書ができあがったので受取後、内容確認。
お客様より「主治医の先生は、あまり障害年金について前向きではない」
と伺ってましたので、出来上がった診断書はさぞ厳しい内容だろうと予想していました。
しかし、
実際はビックリするほど実情を反映してくれていましたので、
お客様とコレはこのまま提出できますね、再検討の依頼も必要ないですね、
と喜んでいました。
一方、
別のお客様の診断書を別の病院で依頼してましたが、
こちらの主治医の先生は、よく患者様の意見を聴いてくれることで有名。
私もはじめて診断書の作成をお願いしましたが、とても評判が良いので、
出来上がった診断書の内容については問題無いだろうと安心していました。
実際に確認すると、
健常者と同等の内容で、こちらもビックリ。
実際は家から出ることができないほど御苦労をされているのですが、
3級にも間違いなく届かない内容。
どうやら、御本人様からあまり先生にお話しできていない可能性も。
先生ともう一度お話して、実情を反映してもらえるように一からやり直しします。
そのような時のためのお客様から社労士への御依頼ですので、頑張りたいと思います。

兵庫県加古川市の障害年金専門社会保険労務士
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特定社会保険労務士 松崎洋治
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社労士の日常
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2024/05/07

令和6年5月 お花

●白色の花は調和で必要。春菊は観賞用にも。令和6年5月7日 インスタで投稿しています。

●春です。いろんな花が。 令和6年4月5日 インスタで投稿しています。

●やっと蕾が、発芽が。 令和6年4月2日 インスタで投稿しています。

●特別な日 令和6年3月10日 インスタで投稿しています。

●春らしくなってきました 令和6年2月1日 インスタで投稿しています。

●花を活けると感性が豊かになる 令和6年1月23日 インスタで投稿しています。

●年末を意識 令和5年12月29日 インスタで投稿しています。

●なんとなくクリスマスを意識した彩り 令和5年12月24日 インスタで投稿しています。

●寒くなってきたので
秋咲ひまわりも束では最後の収穫かも。
季節外れのひまわりもまた良いものだと感じます。
令和5年11月13日 インスタで投稿しています。

●白の菊も捨てがたいですが、黄色で勢いよく。
R5,11月5日 インスタで投稿しています。

●花のくすんだ色合いは
周りの草の色も引き立たせる様な感じがします。
R5,10,21 インスタで投稿しています。 

●切り花ではなく
植えていたモノを。
秋に咲くヒマワリ。
R5,10,15 インスタで投稿しています。 

●9月に入りました。
花の彩りが大きく変わりました。
R5,9,2 インスタで投稿しています。 

●花から秋の訪れをほんの少し感じる。
R5,8,25 インスタで写真を投稿しています。 

●お花を見てほんのり癒されたい。
季節のお花たちをちょっとした花瓶に活けて眺めてます。
R5,7,12のインスタで写真を投稿しております。 

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2024/04/24

労働保険審査会 裁決事例

●『交通事故でトラウマに、精神障害発症後の治癒判断に不服 R2裁決』(月間社労士2024,4月号より引用) → 棄却

【経緯】
請求人は、帰宅途上、交通事故に遭遇、トラウマを訴え、医療機関で精神障害の診断を受け治療、通勤災害として休業給付を受けていたが、その後、労働基準監督署から症状固定(治癒)の処分を受けた。請求人は、未だ治癒していないとして監督署長の処分は誤りであるとして、その取り消しを求め、労働保険審査会に再審査請求したものである。

【争点】
請求人に発症した本件疾病は平成29年をもって症状固定(治癒)したものであると認められるか否かにある。

【審査会の判断】
請求人はH27にD医療機関を受診。その後2件の医療機関を受診。
事故から約1年後に通常就労し、2件目にあたるE医療機関では精神症状は確認出来ないとの診断を受ける。
3件目のF医療機関を受診後、請求人自らの判断によってH29に最終受診。その後本件について通院を必要としない6か月間の無治療期間を置いた。
上記からH29に最終受診となった日をもって症状固定(治癒)したとした監督署長の判断に誤りはない。
よって、本件処分(監督署長の治癒判断)は妥当であり、これを取り消す理由はないから、請求人の再審査請求を棄却する。

※労災により休業(補償)給付を受けていると、治療の進捗状況によって監督署から症状固定→休業(補償)給付を打ち止める、と通告される流れとなります。
休業(補償)給付の後は、後遺症が残っていれば障害(補償)給付などに移行、または後遺症が残っていない場合は支給終了することとなります。
請求人にとっては休業(補償)給付を受け続けていたほうが有利だったと推察できますが、上記のように相当期間にわたり医療機関に受診していない場合は、治癒したものと判断されても致し方ないと感じました。

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●『司法書士・行政書士の労働制を巡る判断 R2裁決』(月間社労士2024,2月号より引用)

【経緯】請求人は、司法書士・行政書士の資格を得て、ある事業所の代表から請われて同業務に従事していた。ところが、過重な業務、長時間労働に加え、代表からの厳しい叱責などから「うつ病」を発病。療養と休業を重ね、これらの疾病は業務上のものだとして療養補償給付と休業補償給付の請求をしたが、労働者として認められないとして不支給決定された。

【審査会の判断】請求人は役員扱いとはなっているが、登記簿上には記載がない。請求人には諾否の事由はなく、拒否権は無い。仕事の内容も大半が代表がとってきた業務であり、指揮監督を厳しく行っていた事実がある。出退勤の報告もSNSで報告義務。報酬は受注した件数に応じた内容では無く、定額であった。
上記のように、指揮命令関係及び報酬の労務対償性のいずれも肯定し得る事であり、請求人が業務を独自に事業展開していたことを裏付ける資料も認められない。

【結果】請求人が労働者に当たらない事を理由として不支給とした本件処分は失当であるから、これを取り消す。

※士業が請われて同業務に従事することはよくあることですが、今回の事例のように指揮命令関係や報酬の内容など実態をみると、名目上は独立した事業所とされていても労働者と認定されます。
※今回の事例では『付言』として、「なお、休業補償給付及び療養補償給付の支給要件は”労働者性があることに限られない”から、(不支給決定をした)監督署長としては、その他の支給要件についても十分に調査・検討の上、新たな処分をすべきことを付言する」と監督署長あてに特に記載されていることが注目点です。

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● 『営業職が職場で「心筋梗塞」を発症、心停止で死亡 R2裁決』 (月間社労士2023年12月号より引用)

【経緯】営業職の被災者が職場で倒れ、医療機関に救急搬送、「心筋梗塞」との診断を受けるも当日死亡が確認された。直接死因「心筋梗塞疑い」。労働基準監督署長は労災とは認めず不支給処分。死亡者家族が不服として決定の取り消しを求める。

【事実認定及び審査会の判断】
本件疾病を含む虚血性心疾患の業務起因性の判断基準は、「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く)の認定基準について」のとおり。
・始業時刻、休憩時刻、終業時刻、休日出勤については特に異常な状況が認められない。
・異常な出来事、短時間の過重業務、長時間の過重業務についても認められない。
・業務以外の要因(健康状態等)については、20歳の頃からの喫煙習慣や高脂血症による投薬治療を受けていた。

【結果】認定基準により本件疾病及び死亡は業務上の事由によるものという事ができない。よって、本件処分は妥当であって審査請求を棄却と裁決。

※ポイント
業務中に発症しただけでは、直ちに労災と認められるわけではなく、それぞれの疾病に関する認定基準にそって判断されます。




● 『取締役の労働者性判断で労働者認める R2年裁決』 (月間社労士2023年10月号 より引用)

【経緯】請求人は会社の取締役兼出先センターの責任者として各種食料品の入庫・仕分・出庫業務等に従事していた。ある日、出勤のため自宅を出る直前、意識を失い、医療機関に搬送され、『高血圧性脳出血、高血圧、右半身麻痺、構音障害』の診断を受け療養・休業した。請求人はこの発病は業務上の事由によるものであるとして請求したが支給しない旨の処分をされた。

【事実認定及び審査会の判断】
昭和34年1月26日付け基発第48号は、法人の重役の取扱いについて、「法人の取締役等の地位にあるもので、法令、定款等の規定に基づいて業務執行権を有すると認められる者”以外の者”で、業務執行権を有する取締役等の指揮、監督を受けて労働に従事し、その対象として賃金を得ている者は、労働者として取り扱うこと」と定めている。
従って、法人の業務執行権を有していない取締役等が使用者から指揮命令を受けて労働に従事し、その労働の対価として賃金を受けている場合には、労働者と解されることから
請求者の状況を以下について検討。
・業務執行権の有無 → 業務方針を決定する権限ではなく、決定された方針を執行する権限
・取締役としての職務の執行状況について → 所長会議等に出席していたことはあるが、取締役会には全く出席していなかった。
・取締役以外の職務の状況について → 代表取締役や役付取締役からの指揮命令を受けて働いていたものと認めることができる。
・請求人の取締役就任について → 労働者として雇入れ後、会社の取締役に就任、その際退職手続はとっていない。さらに雇用保険の被保険者として扱われている。
・報酬の労務対償性について → 会社から得ていた報酬の名目は役員報酬であるが、その中には、労働の対価である賃金が含まれているものと認めることができる。

上記により、請求人は労働者であるというべきところ、労働者に該当しないとされた本件処分は相当ではない(労働者として労災受給を認められた)。

※ポイント
役員という名目だけではなく、実情から判断することになります。


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● 『会計監査業務に従事していた者に発症した脳出血 R2年裁決』 (月間社労士2023年8月号 より引用)
【経緯】
請求人の亡き家族(被災者)は、会社のチーフマネージャーとして複数の会社の会計監査業務に従事。
ある日の深夜、家族が大きな物音に気付き起床したところ、被災者が「体が動かない」と言い、病院へ救急搬送、手術を受けるも同日死亡が確認された。医師の意見書には「右被殻出血」、死亡診断書には直接死因「脳出血」と記載されている。請求人は、被災者の死亡は業務上の事由によるものとして請求したが監督署長は支給しない旨の処分。
【審査会の判断】
認定基準(脳血管疾患及び虚血性心疾患等)に基づき、
・発症前の異常な出来事の有無 → 事実なし
・発症前の短期間における業務の過重負荷の有無 → 1週間70時間弱 → 認められない
・発症前の長期間における業務の過重負荷の有無 → 前1か月の時間外労働108時間59分 → 業務と発症との関連性が強いと評価できるとされている”おおむね100時間”を超える。また、これ以外にも自宅において休日や深夜に業務を行っていた事が認められる。
【裁決】
労災保険による遺族補償級および葬祭料を支給しない旨の処分は、これを取り消す(請求者側の主張が認められた)

ポイント:
認定基準 ①発症前の異常な出来事の有無・②発症前の短期間における業務の過重負荷の有無・③発症前の長期間における業務の過重負荷の有無 に基づいて判断するが、監督署は実際に打刻されたタイムカードで判断したが、実際は会社貸与のパソコンの作業時間で判断すると③が有となり裁決が覆った。


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労働保険審査会 裁決事例
労働保険審査会 裁決事例

2024/03/27

改正 社会保険

●令和8年10月1日 施行予定

国民年金法の改正として、第1号被保険者に対する育児期間の保険料免除制度の創設が盛り込まれ、自営業やフリーランスなどの育児期間中の経済的な給付に相当する支援措置。
保険料免除の対象となるのは、1歳までの子を養育する国民年金第1号被保険者の父母(養父母を含む)。
国民年金の第1号被保険者は、自営業者やフリーランス、無業者など、多様な実態の被保険者が混在していることから、保険料免除を行う際に一般的に勘案されるような育児期間における就業の有無(休業要件)や所得の状況(所得要件)などの要件は設けない。
1歳までの子を養育している第1号被保険者であれば、父母共に対象となる。
財源は保険料ではなく、子ども・子育て支援金制度を活用。
改正 社会保険
改正 社会保険